50代ライダーのためのヘルメット用老眼対策
一瞬の「ピント合わせ」の遅れが命取りに?老眼が招く運転リスク
大型バイクの運転にも慣れ、週末のツーリングが生きがいになってきた今日この頃ですが、ひとつだけどうしても抗えない悩みがあります。それは「老眼」です。日常生活ではスマホの文字を大きくしたり、老眼鏡をかければ済む話ですが、バイクの運転中となるとそうはいきません。
特に恐怖を感じるのは、走行中にメーターやナビを確認する瞬間です。遠くの景色を見ている状態から、手元のスピードメーターやスマホナビに視線を落としたとき、以前なら瞬時に見えていた数字が、ぼやけて判別できないのです。ピントが合うまでに1秒、ひどい時は2秒近くかかってしまう。時速60kmで走っているバイクは、1秒間で約17メートルも進みます。メーターに焦点を合わせようと目を凝らしている間、私は実質的に「前方不注意」の状態で17メートルも移動していることになるのです。
最初は「疲れているのかな」とごまかしていましたが、トンネルに入った瞬間の暗さや、夕暮れ時にはさらに見えづらくなり、これは明確なリスクだと認識せざるをえなくなりました。遠くを見るための視力は十分にあるため、運転免許の更新は問題ないのですが、手元だけが見えない。「遠くは見えるから」と裸眼やコンタクトレンズで乗っていましたが、安全確認の遅れは事故に直結します。そこで、私たち世代のライダーがどう対策しているのか、真剣に調べてみることにしました。
シールドに貼る魔法のレンズ?「ヘルレンズ」で見えたクリアな世界
色々と調べる中で、「これは画期的だ!」と膝を打ったアイテムがあります。それがヘルメットのシールド内側に直接貼り付けるタイプの拡大レンズ、通称「ヘルレンズ(または貼るリーディングレンズ)」と呼ばれる製品です。
仕組みは非常にシンプルで、シリコンや軟質樹脂でできた半月状の小さなレンズを、水を使ってシールドの内側下部に貼り付けるだけ。接着剤を使わないので、位置調整もやり直しがききます。半信半疑で取り寄せて試してみましたが、これが効果てきめんでした。普段、前方を見ているときはシールドの上半分(何もない部分)を通して景色を見るので、遠くの視界はクリアなまま。そして、メーターやナビを見ようと少し目線を下げたときだけ、この拡大レンズを通して見ることになります。
装着して走ってみると、目線を下げた瞬間にメーターの文字が「くっきり」と飛び込んできました。今まで目を細めてピントを探していた時間が嘘のように短縮され、ストレスが激減。なにより、「見えないかもしれない」という不安から、無意識にメーター確認を怠りがちになっていた悪い癖が解消され、頻繁に速度やルート確認ができるようになったことが最大の収穫です。数千円の投資で、これほどの安心感が買えるなら安いものだと思いました。シールドの種類によっては剥がれやすい場合もあるようですが、私のフルフェイスヘルメットでは今のところ問題なく使えています。
メガネ派には「跳ね上げ式」や「バイフォーカル」という選択肢も
私は普段コンタクトレンズで乗ることが多いのですが、メガネをかけて乗るライダー仲間(同世代)に話を聞くと、彼らもまた工夫を凝らしていました。彼らが愛用しているのは、遠近両用(バイフォーカル)の保護メガネや、跳ね上げ式のメガネです。
特にバイク用として優秀なのが、レンズの下部分だけに老眼用の度が入っているバイフォーカルタイプです。普通の遠近両用メガネだと、視界の揺れや歪みが気になって運転しづらいことがありますが、スポーツやバイク用に設計されたものは、風の巻き込み防止機能とともに、非常に自然な見え方を実現しているそうです。また、トンネルに入った際などに片手でサッとレンズを跳ね上げられるタイプも、暗所での視認性を確保するのに役立つとのこと。
「老眼対策なんて、年寄り臭くて嫌だ」と抵抗がある気持ちも痛いほどわかります。私も最初はそうでした。しかし、見えにくい目を酷使して眉間にシワを寄せながら走るよりも、便利な道具を使って涼しい顔でスマートに走る方が、よほど「カッコいい大人のライダー」ではないでしょうか。視覚情報の処理速度は、判断速度そのものです。55歳からのバイクライフを長く安全に楽しむために、視界のケアはエンジンメンテナンスと同じくらい重要なことだと、今では確信しています。




